中国 南シナ海 南太平洋進出!?
これまで中国は、自分たちの領土を広げようとして周辺国とトラブルを起こしてきたが、また南シナ海で新たな動きがあった。
南シナ海は、様々な国の船が行き来する重要な海域である。
この場所を支配できれば大きな影響力を持つことができ、海底の資源も手に入る。
中国は全部自分のものにしようと、サンゴ礁でできた小さな島に目をつけ、ここを軍事基地にして周辺一帯を中国のものにしようと考えた。
その一つが、ファイアリー・クロス礁である。
2014年に埋め立てが始まり、今では3000m級の滑走路が完成しており、街もあり、軍事施設で働く人々の住宅もできている。
他にも人工島はスビ礁とミスチーフ礁があり、ほぼ完成していて、最終的には南シナ海全域を射程に収めるミサイルを配備するのではないかといわれている。
他にも中国は、ウクライナ情勢が注目されているスキに着々と領土を広げようとしている。
それが南太平洋の島国、ソロモン諸島である。
今月19日、中国はソロモン諸島と安全保障協定の締結をしたと発表、具体的な内容は未発表ではっきりしないのだが、中国の軍艦がソロモン諸島に寄港するようになり、太平洋全体を支配するための軍事拠点になるのではないかと、特にオーストラリア辺りが懸念している。
中国の狙いとしては、太平洋全体を自由に活動できる海にしようとしている。
今はアメリカが自由に行き来しているが、中国の海にして「台湾統一」に有利な状況にしておくためとも見られている。
ミャンマー軍による民主派の弾圧!?
ミャンマーの国民からは、
「ウクライナと比べ軽視されている」「忘れないでほしい」「ミャンマーも支援して」
と声が上がっている。
ニュースになっていないだけで、ミャンマーでは軍の弾圧が続き、市民が犠牲になっている。
世界がウクライナ情勢に注目するウラで、軍の最高司令官ミンアウンフラインが「抵抗する民主派と話し合いの余地はなく、全滅させる」と驚きの発言をしており、すでに50万以上の人が住む家を追われ、国内外に避難している。
軍事政権に対抗するために、多くの公務員が仕事をボイコットし、学校の先生や医者、看護師らは
「軍事政権下では仕事をしない」と放棄している。
国民たちはこれを支持していて、結果的に学校や病院の閉鎖、停電や水が出ないなどが起きている。
さらに、民主主義を守る戦いという意味では、ミャンマーもウクライナも同じということで、最近はウクライナと連帯しようという運動がミャンマーでSNSで広がっている。
というのも、ミャンマーの軍事政権はロシアと深い関係があり、欧米がミャンマー軍を制裁しているのに対し、ロシアはミャンマー軍に武器を送るなど支援している。
さらにミャンマー軍は、ウクライナ問題を「侵攻ではない、ロシアを支持する」としているので、
ミャンマーの国民が軍事政権と戦うことは、ウクライナの人々がロシアと戦うことと同じことだとミャンマーの民主派たちは認識し、ウクライナと連帯しようとしている。
アフガニスタン タリバン政権による女性の権利剝奪‼
長い間、派遣されていたアメリカ軍が撤退し、イスラム原理組織タリバンが政権を握ったことで国民が混乱、国を逃げ出そうとする人たちの映像が大きなニュースになったのは中東のアフガニスタン。ここでも大変なことが起こっていた。
タリバンとは、イスラム教の教えを守る国を作ろうという考えを持った人たちである。
そのようなイスラムの教えを守る国はいくつもあるが、タリバンの独特の解釈で厳しいルールを強制することが問題視されている。
特にひどいのは、女性の権利を認めないこと。
1996年~2001年までタリバンが政権を握っていたころ、女性は教育を受けられない、限られた職業にしかつけないなど、女性を差別していた。
そのため、昨年に再びタリバンが政権を握ったときは、世界中が批判した。
タリバンがまた女性の権利を抑圧するのではないかと心配されているなか、タリバンは女性の権利を認めると言っていた。
しかし、ウクライナに世界の目が向いている間に、タリバンは「制服が反イスラム的だ」という適当な理屈をつけて、女性の教育が認められなくなってしまっていた。
他にも、女性のみで飛行機の搭乗が禁止され、搭乗するには男性の保護者が必要だったり、女性だけでの都市間の車移動も禁止されていた。
このように、タリバン政権下では女性の権利がどんどん制限されている。
タリバンにとって、女性は独立した存在ではなく、男性の保護を受けなければならない存在だとみていて、それがイスラムの教えなんだということである。
同じイスラムのサウジアラビアでも、以前は女性が車を運転することを禁止していたり、
女性が1人で行動することが認められていなかったが、最近は女性の権利を認める方に動いている。
その中で、タリバンは時代に逆行する動きをしている。
弾圧され続ける民族 クルド人
ウクライナ情勢に注目が集まっているなか、弾圧され続けている民族がいた。
それが、クルド人である。
クルド人は、おもに中東に約3000万人もいて、自分たちの国を持っていない。
第一次世界大戦後、クルド人は大国に勝手に国境線を引かれ、バラバラにされてしまい、それぞれの国で少数派として差別され続けてきた。
今年の2月、ウクライナ情勢が緊迫するなか、トルコが隣国のシリア、イラクにいるクルド人に対しおよそ80か所に渡って空爆をした。
トルコが注目されにくい時期を狙ったのではと非難されている。
トルコ側からすれば、クルド人は「自分たちの国を作りたい」と運動する過激派で、トルコを分裂する危険な行為として空爆をしている。
それからトルコは、ロシアとウクライナの停戦の仲介役に意欲的に名乗り出ているが、それにはクルド人空爆を非難できないようにする狙いがある。
結果的にクルド人が見捨てられてしまっている。
ニュースになっていないだけで、ウクライナ問題以外にも、世界では多くの争いが起き、独裁者に弾圧され続けている人たちがたくさんいる。
(4月22日放送 「池上彰のニュースそうだったのか‼」より)
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