世界的な食料不足!?
ウクライナ問題で不足、値上げすると言われているのは小麦だけではない。
実は、野菜、果物、お肉など、あらゆる食べ物が不足する危険性がある。
なぜ、食べ物が不足する危険性があるのかというと、輸送費の上昇より深刻なのは肥料である。
ロシアは世界最大の肥料の輸出国であり、多くの国がロシアから肥料を輸入している。
そのロシアが肥料を輸出しないと言えば、穀物だけでなく、野菜、果物、あらゆる農作物に悪影響が出る。
世界的な食料危機は起きるかどうかではなく、必ず起きる。
いつ、どれくらいになるかが問題だと専門家たちは言っている。
家畜のエサになる穀物、牧草も肥料を使って作っていて、餌の不足は肉質・量に悪影響を与える。
日本も他人ごとではなく、多くの食料を輸入している。牛や豚も、エサの多くが外国産である。
もし、外国から輸入できなくなったら、私たちの食事はどうなってしまうのか、農林水産省のシュミレーションがある。
[国産だけで2020kcalをとるメニュー]
朝食→ごはん 粉吹きいも ぬか漬け
昼食→焼きいも 蒸かしいも 果物
夕食→ごはん 焼きいも 焼き魚
※みそ汁は2日に1杯、卵は7日に1個、肉は9日に1食。
世界的には人口が増え続け、近い将来、確実にやってくるという食料危機に対し、昆虫食が注目を集めている。
昆虫食は、たんぱく質などの栄養が豊富で、水やエサが少なくて済み、成長が早くて効率的である。
中でも、コオロギは繁殖しやすく、すでに様々な商品が発売されている。
世界的な食料危機が来るかもしれない。そのときに食の多様化、国内で作れるものを考えていかなければならない。
国際宇宙ステーションの墜落!?
「アメリカに落下するISS(国際宇宙ステーション)を誰が救うのか。すべてのリスクを負うのはあなた方だ。」と言って、ロシアが脅している。
ISSはロシアも仲間となり、欧米、日本などが共同で実験や観測を行っており、ロシアの果たす役割が非常に大きい。
ISSは地球の約400㎞上空を周っていて、何もしないでいると、重力などの影響で少しづつ高度が下がり、最終的には地球に落ちてくる。
それを軌道修正して、高度を維持しているのが、主にロシアの役割である。
ロシアの宇宙船が、ISSにドッキングして、噴射して高度を維持している。ロシアは、経済制裁に反発して「高度維持を拒否する」と脅している。
しかし、アメリカでも軌道修正は可能なので、実際に落下することはない。
ロシアによるロケット発射の中止 世界の科学発展への悪影響!?
ロシア製ロケットは性能が安定していて値段が安く、日本も含めて世界各国は人工衛星を打ち上げるときにロシアを頼っている。
それにロシアが協力しないとなれば、通信衛星、観測衛星などの打ち上げに悪影響が出る。
実際に、ロシアは他国の衛星の打ち上げを一部中止したり、ロケットに掲げられた出資国の国旗を消す作業をしている。
ロシアに頼らず、ロケットを打ち上げることは可能だが、コストがかかり、見直しが相次いでいて、世界中の科学の発展に大きな悪影響が出ている。
ロシア・中国による 月面基地計画!?
ロシアは中国と手を結んで、月面基地の建設を計画しているという。
中国は独自に宇宙ステーションを建設するなど、宇宙では欧米と別行動の独自路線を進んでいる。
なぜ月に基地をつくる必要があるのかというと、月にはレアメタルなどの貴重な資源があり、経済発展に有利になる。そして、月面での工場建設など、様々な構想がある。
しかし、そもそも月面は誰のものなのだろうか?
誰のものとは決まっていないため、独自路線で歩み寄っているロシアと中国が、月面でどんな振る舞いをするのか、宇宙でも世界の対立が懸念されている。
北朝鮮 核実験再開の兆候!?
ロシアのウクライナ侵攻の様子を見た北朝鮮は「やっぱり、核兵器は必要だ!」と、考えているのではないか。
ウクライナはかつて、アメリカ、ロシアに次ぐ、世界3位の核保有国だった。
ウクライナはロシアと一緒のソ連という国だったとき、ソ連は西欧に対抗するため、西欧に近いウクライナに軍隊や大量の核兵器を配備していた。
しかし、ウクライナに核を残したままソ連が崩壊してしまい、結果的にウクライナは世界3位の核保有国になってしまった。当時、ウクライナには、核弾頭1,240発あったといわれている。
その後1994年、ウクライナはブダペスト覚書で核兵器を放棄する。
ブダペスト覚書とは、ウクライナが核兵器を放棄してロシアに渡すかわりに、アメリカ、イギリス、ロシアがウクライナの領土の安全と、独立国家としての主権を保証する約束のことである。
しかし、ロシアは約束を破ってウクライナを侵攻、守ってあげると約束していたアメリカとイギリスも、武器は送ったが軍隊は送らなかった。
そんな状況のウクライナを見た北朝鮮は、
「ウクライナが侵攻されたのは、核を放棄したからだ。」
「核を持っていれば、ロシアはウクライナに侵攻しなかった。」
「アメリカがロシアを攻撃しないのは、ロシアが核保有国だから」と考え、
「やっぱり、核は手放せない!」という結論に至ったのではないだろうか。
「核やミサイルは自分を守る手段だ!」と北朝鮮は考え、さらに暴走するのではないかと懸念されている。
今回、ロシアはウクライナを攻撃する前に「ロシアは最強の核大国だ!」と、各国に脅しを入れている。
また、先月の22日、ロシアのぺスコフ大統領報道官は「国家存亡の脅威には、核兵器の使用もあり得る」と言っており、
ウクライナに軍隊を送ってロシアと戦争になったら、核兵器を使用してしまうのではないかと、こちらも世界が懸念している。
一方で、北朝鮮で閉鎖したとされる核実験場で復旧作業の動きがあり、また核実験を再開する兆候があると、アメリカが発表している。
「極右過激派」の育成によるテロの増加!?
外国人義勇兵とは、兵士になってウクライナに加勢しようとする志願者のことで、約2万人いる。
元軍人や未経験者もいて、ウクライナ的には来る者は拒まず「誰でもいいから助けて!」と、ウェルカム状態である。
しかし、義勇兵の中には「戦争の技術を磨こう!」と、過激な考えを持つものも一部にはいて、
特に今、心配されているのは「極右過激派」といわれる人たちである。
極右過激派は、白人のための国家を取り戻そうという思想で、白人ではない外国人は排除して、白人だけの純粋な国をつくろうという考えを持つ者たちである。
その極右過激派がウクライナの義勇兵に一部混じっていて、白人の国ウクライナを守りつつ、戦争の技術を学び、それぞれの自国に帰ったときに外国人を追い出し、白人国家を作ろうとテロを起こすのではないかと懸念されている。
近年、特に欧米では、極右過激派による暴動やテロが頻発しており、この者たちにとってウクライナは「実戦経験ができる恰好の場所」であり、ウクライナ問題が長期化すればするほど、テロリストを育成してしまう危険性がある。
(4月22日放送 「池上彰のニュースそうだったのか‼」より)
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