旧統一教会の問題は ”蟻地獄” だ。この問題を表層的に捉えてはならない。 確かに「霊感商法」「献金問題」「合同結婚」などを皮切りに、この教団の問題は挙げればきりがないが、旧統一教会を巡ってはさらに深い問題が隠されている。それは創設の経緯といった歴史を振り返ることで露出する。そこに様々な得体の知れない人間が暗躍していたことを確認するだろう。 旧統一教会は、黒歴史で満ち溢れている。
今回は「白坂和哉 DAY WATCH」より『【閲覧注意】統一教会の本当の問題が全て分かります!「統一教会」&「CIA」&「KCIA」の黒歴史!』を文字起こししました。
8/12 河野太郎記者会見

河野太郎内閣府特命担当大臣は8月12日、記者会見の席上で「旧統一教会を巡る霊感商法の対応については、消費者庁の中で検討会を速やかに立ち上げたい」と言った。
この発言については「霊感商法とは、霊感商法一般と考えてよろしいか?」という質問が記者から出たが、河野大臣は「その通りです」と答えている。
つまり、河野大臣の言う霊感商法の検討会というのは、旧統一教会のような特定の団体をターゲットにしたものではない。
‶世間一般で言われているところの霊感商法を広く検討し、旧統一教会の事例も含まれるかもしれない”という程度のものである。
これの意図するところは明白で、旧統一教会の特殊な被害事例を他の霊感商法と同列に扱い、旧統一教会の悪質な幾つかの事例は罰するかもしれないが、その程度に抑えてお茶を濁す…ということ。
つまり、旧統一教会の問題を矮小化して事態の幕引きを図ることで、岸田政権としてはオウム真理教事件のように教団の解散命令にまで踏み込む意図など毛頭ないわけである。
このままでは旧統一教会の問題の本質が国民の目から隠されたまま、この問題の幕引きが図られてしまう。
もちろんすでに報道されているように、旧統一教会を巡っては霊感商法、マインドコントロール、常識を超えた献金、それに伴う破産や家庭の崩壊、人権無視の合同結婚、信者二世の問題といったように、深刻な問題は挙げたらキリがない。
しかし旧統一教会を巡っては、さらに深い問題が隠されており、この本質的な問題とは、日本という国家の在り方に関わっているのである。
つまり戦後の日本、韓国、アメリカの政治に深く関わっている‼
それでは、具体的に見ていきましょう。
CIAは日本で何をした?
戦後の日本、韓国、アメリカは、統一教会という一つのタブーを抱えている。
1950年に始まった朝鮮戦争が1953年に休戦という形で一旦は収束したが、時は冷戦まっただ中の時代だった。
アメリカは朝鮮戦争後の韓国、そして日本を「反共産主義」の防波堤にしようと画策した。
その際に暗躍したのが、アメリカの諜報機関である中央情報局(CIA)である。

CIAは日本で何を行ったのだろうか?
まず1948年に、戦犯として巣鴨拘置所に収監されていた岸信介、笹川良一、児玉誉士夫を出所させる。
政治家の頂点を極め、なおかつアメリカの意のままに動く人間、さらに右翼として日本軍や米軍にも通じるアンダーグラウンドな人間を占領政策の中で利用するためである。



岸信介

岸信介は亡くなった安倍晋三氏の祖父として名前が知られている。
そんな岸信介の出身母体となる自民党は水面下でCIAからの資金援助を得ながら、1955年に当時の自由党と日本民主党が合わさる形で結成された。これが55年体制である。
CIAから自民党への秘密の資金援助は、1950年代後半から1970年代の初めまで、少なくとも15年間にわたって続いていたと言われている。
岸信介は自民党が結成された、わずか2年後の1957年に内閣総理大臣に就任している。
笹川良一

笹川良一は戦前、右翼政党「国粋大衆党」を結成。
イタリアの独裁者ムッソリーニを崇拝し、実際にムッソリーニ本人との会見も行っている。
戦時中、東条英機内閣の翼賛選挙に立候補、衆議院議員に当選をしており、終戦直後の1945年9月に大阪南地の花街に連合軍慰安所アメリカン俱楽部を開設する。
これは文字通り、駐留米軍向けに日本が作った性的慰安施設だったわけだが、笹川良一は資本金として当時のお金で数百万円出資し、弟の笹川了平を社長にして、この慰安施設の経営をさせていた。
これはほとんどの人が知らない事実である。
そして、同じ年の1945年12月、笹川良一はA級戦犯として巣鴨拘置所へ連行される。
児玉誉士夫

児玉誉士夫は戦前は暴力的・極右反動活動を展開し、何度か逮捕・投獄されている。
戦時中は中国の上海に児玉機関なる組織を置き、数千人にも及ぶ工作員を使いながら、日本海軍のために軍事物資を調達していた。
戦略金属からアヘンといった麻薬まで扱い、つまりは闇市場を取り仕切っていたわけだが、当時の日本軍や日本政府は児玉の持ち込むものは何でも高く買っていた。
児玉誉士夫は笹川良一の国粋大衆党にも参加し、笹川と同じ時期に、やはりA級戦犯として巣鴨拘置所へ投獄されている。
朝鮮戦争の頃はCIAの援助を受け、アメリカ向けにミサイルの材料であるタングステンの密輸にも手を染めいたが、それは日本軍の貯蔵庫から奪ったものだった。
児玉誉士夫は自らCIAのエージェントであることを自称していたようだが、このようなタングステンの密輸のやり方もあり、CIAからの評価は必ずしも高いものではなかった。
統一教会の黒歴史


統一教会は1954年、文鮮明により韓国で創設された。
1955年に日本では自民党が結成され、1958年に統一教会は日本へ進出し、翌1959年に日本統一教会を設立する。
そして1964年7月、統一教会は日本で宗教法人の認証を受け、初代会長は久保木修己である。

同1964年11月、統一教会が本部を東京都渋谷区南平台に移転するが、なんとこの場所は岸信介邸の隣だったのである。
これは決して偶然ではなく、これで両者の距離が一気に縮まったはずである。
統一教会の文鮮明は1967年に来日しているが、これは「アジア反共連盟」の第1回結成準備会に出席するためで、日本からは笹川良一、児玉誉士夫の代理人が出席している。
そして、ここで笹川良一が岸信介と文鮮明を引き合わせる。

このアジア反共連盟については実は前段があり、それは1954年、韓国の李承晩と台湾の蒋介石らが中心となって結成されたアジア諸国人民反共連盟である。
この結成に際し、裏で支援していたのがCIAの長官アレン・ダレスである。

このように、1950年代から70年代にかけて反共産主義を掲げる団体が世界各地で作られ、それが離合集散を繰り返し、現在に至っている団体も存在する。
そして、そんな団体に多かれ少なかれ、アメリカのCIAが絡んでいることに要注意である。
それだけアメリカの反共意識は我々が想定する以上に根強く、反共であることはアメリカの覇権を維持する要因の一つになっている。
さらに話を進めると1968年、反共産主義を掲げる統一教会の政治組織・国際勝共連合が設立される。
ここでも初代会長は久保木修己で、そして名誉会長に就いたのが笹川良一、さらに支援者として児玉誉士夫が名を連ねており、岸信介は戦後、A級戦犯として収監されていたことから笹川良一と親しい間柄で、勝共連合を後押しした。

1970年、勝共連合の挨拶に立った笹川良一は「私は文鮮明の犬だ」とすら言い放ち、1973年には今度は岸信介が統一教会に対しこんな言葉を残している。
岸信介「隣り合わせで住んでおりました。笹川君が統一教会に共鳴して運動強化を念願し『君の隣に来ているのは、私が陰ながら発展を期待している青年の諸君だ』と聞き、久保木君のお説教は非常に頼もしく、私は考えたのです」
さらに1974年に文鮮明が来日した際には、岸信介を名誉実行委員長として「希望の日晩餐会」が開かれ、当時大蔵大臣だった福田赳夫はこのような挨拶をしている。
福田赳夫「アジアに偉大な指導者現る。その名は文鮮明。今日は待ちに待った文先生と席を同じくし、ご高邁なご教示にあずかり、本当に今日はいい日だなぁ…」

韓国では何が起こった?
ここで、統一教会の原点である韓国に目を転じて見ましょう。
統一教会は1954年に文鮮明の手によって韓国で創設されたのはすでに述べたが、韓国では1961年の朴正熙(ボクセイキ)のクーデターにより軍事独裁政権が誕生した。

この同じ時期に作られたのが韓国の諜報機関、KCIA(韓国中央情報部)である。もちろん、KCIAの設立にはアメリカのCIAが深く関わっている。

KCIA初代局長・金鍾泌(キンショウヒツ)は、統一教会に深く絡んでいる。
1963年、CIAによって作成された内部文書には次のように書かれている。
『金鍾泌は統一教会を組織化し、2万7000人ほどの信者たちを政治的なツールとして使っている』
つまり、統一教会の背後には韓国政府の諜報機関・KCIAが控えていたということである。
要するに、統一教会を巡る全ての根源はCIA、つまりアメリカなのである。


アメリカでは何が起こった?
冷戦の最中、是が非でも共産主義の拡散を食い止めたいアメリカは、韓国では統一教会を利用することで反共の拠点とし、日本では自民党を作ることで反共の拠点にしたということである。
よって統一教会、自民党、CIAは深く結びつき、アジアの反共産主義の拠点として現在に至っている。

だから日本は今でもアメリカの属国のままで、対米従属から抜け出せないでいる。
それでなかなか政権交代が起こらないし、政権交代が起きてもすぐに潰されてしまう。
そして、統一教会は今や政権与党の自民党に大きな影響を与え、それが日本の政治への影響となって表れている。
旧統一教会からは多くの信者が自民党の議員の秘書として入り込み、そこから国家機密が漏れていたことは容易に想像できる。それはすなわち、アメリカにも日本の国家機密が漏れているということである。
また、国際勝共連合の改憲案は自民党の改憲案とそっくりで、これも統一教会の影響である。
現在、日本で起きている旧統一教会からの侵略は、1970年代のアメリカで既に起きている。
文鮮明は1972年、KCIAの勧めで統一教会の拠点をワシントンに移し、世界に向けてロビー活動を展開する。

アメリカ国内での影響も深刻で、1977年に統一教会というカルト教団からの侵略が表面化した。
この年にまとめられたアメリカ下院国際情勢委員会報告書によると、「100人以上の議員がKCIAと文鮮明による、韓国のロビー工作に関与した」と指摘されている。
これが俗にいうコリア・ゲートである

日本と同じようなことが、アメリカではすでに45年前に起きており、アメリカ下院はコリア・ゲートを究明する委員会を立ち上げる。
議長ドナルド・フレイザ下院議員の名を取って「フレイザ委員会」と呼ばれた調査委員会は、400ページを超える報告書を作成し、そこには「2万人以上の統一教会信者が贈賄、銀行詐欺、違法なキックバック、武器販売に関与した」と書かれている。

さらには「統一教会そのものがKCIAによって作られた存在であり、第二次世界大戦後にKCIAを設立した主要機関はCIAである。統一教会信者はアメリカの外交政策に影響を与える政治的道具として、KCIAと協力している」という記載は極めて重要である。
アメリカではニクソン前大統領、レーガン前大統領、パパブッシュ前大統領との関係が取りざたされ、彼らは法外なお金を貰って統一教会の後援会に登場した。



このことは現在においてもフェンス前副大統領、ポンぺオ前国務長官、そしてトランプ前大統領ですら、未だに旧統一教会の講演に登場することから、はたしてアメリカの統一教会問題「コリア・ゲートは解決したのか?」と疑わざるを得ない。




元々は、アメリカのCIAが反共の砦として韓国に統一教会、日本に自民党を作ったまでは良かったものの、特に旧統一教会は存在の輪郭をとっくに失い、アメリカですら制御できないモンスターになっているのではないか。
そして、日本、韓国、アメリカの政治に大きな影響を及ぼしているというのが旧統一教会の問題の本質であり、日本は当面の間、この問題を全く解決できないであろうことは明白である。
河野太郎の消費者庁がどうにかできるようなそんな小さな問題ではなく、アメリカですらこの問題は解決できないかもしれない。
なぜなら本当の支配者、そして本当の支配構造が全く見えてこないからである。